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生きるとは燃えることなり

 村上和雄先生がこころの師と仰ぐ先生がいました。それは、京都大学第十六代総長を務められた平澤興先生です。村上先生が平澤先生について語られた言葉をご紹介いたします。


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 平澤先生は、素晴らしい医学者であり、特に脳の研究で大きな功績を残されました。一九五一年には『錐体外路系の研究』で日本学士院賞を受賞され、一九七〇年には勲一等瑞宝章を叙勲されています。

命の不思議と有り難さについて、平澤先生はこう述べています。私たちは約六〇兆個もの細胞の命が集まって生きています。一人で生きているのではなく、身体のすべての細胞がそれぞれの役割を果たしてくれているおかげで安心して生きることができているのです。「生きている」のではなく、「生かされている」と考えるべきなのです。

この多種多様な身体の働きに感謝をし、敬意を持つことこそが、本当の意味で生きるということなのです。命の働きに対して謙虚になること、心から謙虚に生きることが、人間としての原点です。

 どんなに立派で素晴らしいことを成し遂げても、自分が偉いと思い込んだり傲慢になったり、他人の言葉を受け入れなくなったりすると、どこかで周囲の人に不快な思いをさせるだけで、その人の持つ本来の力も十分に伝わらなくなります。平澤先生は、一貫して本当に謙虚な方でした。


 人間の身体は非常に精密に作られており、おそらく全宇宙の中でも最も精密な機械であると平澤先生は語られました。私たちの身体の細胞は一日に約二%、数にして約一兆個も入れ替わっています。一年経てば、ほとんど新しい細胞で構成された身体になるのです。

それでも私たちの外見や性格はほとんど変わりません。これは細胞の持つ複製機能によるものですが、私たちの心は環境によっていつでも変化することができます。感動的な本を読んだり、映画を見たり、人の言葉や新しい出会いに感動したりすると、突然視界が開けるように心が変わることがあります。

 人間は宇宙の中で最も尊く、進歩した存在です。一人ひとりが素晴らしく、面白く、優れているということに気づく習慣を身につけましょう。「この世に存在価値のない人間は一人もいない」と平澤先生は明言しています。人間同士がお互いの存在を大切にし合うことこそ、社会に最も必要なことです。

 日々あらゆる人や生き物に対して畏敬の念や尊敬の心を持ち続ければ、感性は鋭敏になり、良いものを見つける力が育まれます。心が広く豊かになれば、同じことでも喜びや楽しさが何倍にも増え、感動や喜びを感じる機会も多くなります。

人は心の成長のために生きているのですから、いつでもその可能性の扉を大きく開けておくことが大切です。年齢は心の成長とは関係ありません。平澤先生は、生涯を通じて心と魂の成長を追求されました。


 平澤先生は、「情熱とは、年齢ではなく、燃える心の力である」とおっしゃいました。「八十歳になっていよいよ世の中がよく分かるようになってきた」とも語られ、年齢を重ねてもなお、情熱を持って生きることの重要性を示されました。

 平澤先生は「善悪を超えて、あらゆるものに慈悲の心を持つ人になりたい。それが私の祈りである」と語っています。祈りとは自己を発見することだと言います。自己を見失わず、常に社会や周囲の人々への感謝を忘れずに情熱を燃やし続けることが、生きる喜びにつながります。

 どのように生きるかは人それぞれ自由であり、その生き方こそが、その人自身の顔を創り上げるのです。


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村上先生は平澤先生に、正確には三回しかお会いしていませんでしたが、常に師として慕っていました。

 
 
 

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