No.5 『生きている。それだけで素晴らしい』


このHPをお読みくださっている方に村上和雄先生の本や講演録のなかから、いま、お伝えしたい
ことばをご紹介してまいります。

最近はコロナのことばかりが話題ですが、がんは相変わらず日本人の死亡原因の一位です。
がんの統合医療において、免疫療法などの先駆的治療に取り組まれている阿部博幸先生と
村上和雄先生の共著、「生きている。それだけで素晴らしい」 PHP研究所 からの抜粋です。

第一章 心が幸せを呼ぶ、より

生き方を変えれば末期ガンも治る

村上 日頃の生活の中に笑いを取り入れていければ幸せになれる。笑うためには、感動する、
好きなものを見つけるといったことが大切です。
形だけの笑いだけではなく、心からの笑いが大切ですね。
遺伝子というのは心で動くんですね。笑いと糖尿病の実験で感じたのは、同じ漫才を聞くのでも、さめた気持ちで聞いている人、あまり面白がらない人は血糖値があまり下がらなかったですね。
だから逆につまらない講義でも面白がれば、血糖値は下がるでしょう。

阿部 つまらない講義や面白い漫才が遺伝子のオン/オフを決めるのではなく、それを受け止める心が、オン/オフを左右しているということでしょうね。

村上 心というのはとらえどころがなくて、なかなか科学にはならなかったのですが、遺伝子を
介在させると、科学的に説明ができそうです。
先生が専門でやっておられるガン治療も、気持ちが非常に重要だと思います。先ほど、気持ちの
もち方でガンの経過が違うとおっしゃいましたが、具体的にはどんな例がありますか。
ガンという言葉を聞いて、それだけで滅入ってしまっている人なんか、治りにくいんでしょうね。といって笑っているわけにはいきませんからね。

阿部 そうですね。ガンと聞いて笑えれば一番いいのでしょうが、なかなかそうはいきません。
大体、落ち込んでしまいます。
傾向として、もう頭の中がすべてマイナスになっている人は免疫力が上がりにくいですね。お先
真っ暗だと、ネガティブになっている。いくら「あなたよりもはるかに進行したガンの人がこんなによくなっていますよ」と言っても、私は違う、ダメだと思い込んでいる人は、決して治るという方向にアンテナを向けないですね。
逆に、前向きの人は驚くような結果を出しています。

例えば、私の印象に残っている人では、卵巣ガンの患者さんですが、卵巣ガンというのは、生殖
細胞ですからなかなかやっかいで、かなり治療が難しい。
そのうえ、その女性は、経済的にも余裕がない状態だったので、治療法も限られてきます。
ところが、彼女はたまたまガン保険に入っていました。余命六カ月以内なら保険が下りるという
わけです。

地元の病院では、半年以内だという診断が出されていたことがわかりました。いいのか悪いのか
わかりませんが、彼女は保険金が入ったのをラッキーとばかりに喜んで、その保険金を私の治療法に全部使いたいと言うわけですよ。
先ほども申し上げましたが、私のやっているNK細胞療法というのは、自分の血液の中からNK細胞を取り出して体外で10億個にまで増やし、活性化させてから体内に戻すという治療法です。効果はかなりありますが、費用も決して安くないし、もちろん100パーセント成功ということではないですから、とにかくやってみたいと、目をきらきらさせて言うわけです。

これはいけるかもしれないという感覚はありました。しかし、余命半年以内というのが現状です。それも卵巣ガン。予断は許さない状態であることには変わりありません。ステージでいえば4期ですから。

ところが治療を始めて、宣告された六カ月はとうに過ぎてすっかり元気になった。今では息子の
ために料理屋を開くというので張りきっています。食材の調達に海外まで出かけて行くくらいで、とても余命半年だった人とは思えません。腫瘍マーカーも劇的に下がってきていますしね。心の
もち方一つ、それと目標をもつ、夢をもつということの大切さを教えてくれた患者さんです。

村上 それはすごい話ですね。ふつう、患者さんにしてみれば、できれば手術なんかしたくないし、薬も飲みたくないわけですよ。でも、今の医療は、それ以外のメニューがないから、患者さんも仕方なく受けるしかありません。西洋医学は進歩したと言われているし、実際に進歩していますが、それでもなぜか病気は治らない。医療費が増えるばかりですよね。

何でだろうと思うんだけど、やっぱりこれは心の問題が抜けているからではないかと、笑いと
遺伝子の研究をやっていると、そう考えざるを得ないですね。
心や感情が遺伝子のオン/オフをコントロールして、それが、病気が治るとか治らないに大きな
影響を与えているのだと思いますね。

阿部 ある胃ガンの患者さんも、まず自分がガンであることをしっかりと受け止め、「俺はガン
なんだ」と自分に言い聞かせ、次に「絶対に治すぞ」と心に決めました。さまざまなサプリメント、食餌療法、それから温泉にも行って、徹底的にガン治療をしています。この人には、自分で
治すんだという信念みたいなものを感じました。そうしたらガンの進行がピタッと止まってしまったのです。
陽気で前向きで、まだやることがあるぞという人は、いい結果が出ていますね。

村上 ガンになることで、価値観が変わってくるんでしょうね。生き方やものの見方が変わってくるのでしょう。

環境を変えると眠っている遺伝子をオンにすることができます。 思ってもみなかった能力が発揮されたりするわけですね。私も、アメリカに行って、いろいろな目覚めが起こりました。

でも、基本的に人間というのは、あまり変化したがりません。変化は不安定ですから、できれば
昨日と同じように平穏に今日も過ごしたいと思うわけです。

ガンという病気は、平穏な毎日に投げかけられた大変な波紋です。変化したくなくても変化せざるを得ない出来事です。

遺伝子が目覚めざるを得ない。問題はどんな遺伝子が目覚めるかです。アメリカヘ行ったとき、私はおかげで好ましい遺伝子がオンになって、想像もできなかった研究の発展があった。でも、例えば夏目漱石は、イギリスヘ行ったことでストレスをため、胃を壊してノイローゼ状態になってしまいました。好ましくない遺伝子がオンになったのでしょう。

変化が起こったとき、それをどう受け止めるかで、どの遺伝子がオンになるか決まってくる。ガンになった人が、気持ちのもち方で、その後の経過が違ってくるというのは、そんなことが影響しているのではないかと思いますね。

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【ホンのひとこと】

ガンという病気は、平穏な毎日に投げかけられた大変な波紋です。変化したくなくても変化せざるを得ない出来事です

村上先生は「前向きな心、陽気な心が良い遺伝子のスイッチをONにする」と言い続けてこられま
した。この本では、がんをずっと診てこられた阿部博幸医師との対談で、治癒していく人とはどのような人であるか、が語られています。つまり、生きることに対する向き合い方が、がんの治癒に大きくかかわっているというのです。
科学者と医師というサイエンス分野の二人が、科学や医学を超え、「生きる」ことについて語りあった一冊です。
今、世界に起きている大きな変化を、どのような気持ちで受け止めていくか。それによって未来はつくられる。ひとりの思いは偉大な力を持っていると感じました。

PHP研究所:生きている。それだけで素晴らしい~遺伝子が教える「生命」の秘密~