No.4 インテリの悲観論よりアホの楽観論


このHPをお読みくださっている方に村上和雄先生の本や講演録のなかから、いま、お伝えしたい
ことばをご紹介してまいります。

2008年に出版された「アホは神の望み」(サンマーク出版)からの抜粋です。異色のタイトルも、
ですが、私は装丁がとても好きです。夜明け直前の海かもしれません。水平線の空と海が淡いピンクから紫、ブルーのグラデーションを描いていて、もうすぐ日が昇る、という希望を感じます。

第2章 陽気であきらめない心 より

インテリの悲観論よりアホの楽観論

ときどき日本人ほど心配性の人種はいないのではないかと思うことがあります。世界トップの長寿国でありながら病気や健康の心配ばかりしている。世界にこれほど安全な国はまれなのに、近ごろは安心して町を歩けないなどと治安の悪さを嘆いている。

そういう心配がゼロというのではないが、これは顕微鏡で見るべきものを拡大鏡で見ているようなものです。つまり、一部の悪材料を必要以上に拡大解釈して、悩みの種を自分で広げている。なぜそうなのかを考えて、一つ思い当たるのは、悲観的なことは高尚めいて見える点です。ある事柄を肯定的にとらえるよりも、否定的にとらえるほうが、それについて深く考えているように見える。だから、インテリと称される人ほど悲観論をぶちたがるものです。

中略
病気の治る人とは病気を忘れてしまう人という説があるそうです。病気になると治そう治そう、治りたい治りたいとがんばる人がいますが、こういう人も病気に意識やエネルギーを集中させることでかえって病気にとらわれてしまい、治りにくいタイプに分類されてしまうというのです。納得できる話です。

反対に、すべき治療をしながら、その結果については「前向きに放棄している」人。プロセスに力を尽くすが、結果は天の意思に預けてしまう人。こういう人は病気に心をとらわれることが少ないので、そもそも病気になりにくく、また、治りやすいタイプなのです。

中略
プロローグで紹介したアップルのスティーブ・ジョブズは自分でつくった会社をクビになった直後築き上げてきたものをすべて失った気がして、しばらくの間は精神的にどん底をさまよったといいます。しかし、やがてアップルを追い出されたことは人生最良の出来事だったと感じるようになりもう一度、一から出直そうという気持ちを取り戻すことができたそうです。

その変化をジョブズは、「成功者であることの重みがビギナーであることの軽みに変わったから」と述べています。それまで構築してきたものを失ったことは大きなショックであったにはちがいないが、同時にそれは、自分の背中からよけいな荷物を下ろし、そのぶん自由度が増して人生をリセットすることにつながったというのです。

そして彼はピクサーという新しい映像制作会社を興し、生涯の伴侶となる女性とも出会い、ふたたびアップルヘ戻って傾きかけていた同社を再興させていくのですが、そうしたこともアップルをクビになっていなければ何一つ起こらなかった。だから、人生には「ひどい味の薬」が必要なのだとも述べています。

ここから学べるのは、ものごとは見方一つ、 とらえ方一つで重くもなれば軽くもなるということです。否定的に考えようとすれば、いくらでも否定的に考えられること、この場合は、持てるものを失ったことを「しがらみから自由になった」と肯定的に考えることによって、心のありようがガラリ一変して、前へ進む力になったのです。

人生における失敗やつまずきはたしかに「ひどい味の薬」といえます。しかしそのことを、「薬であるにせよひどい味だ」とネガティブにとらえるか、「ひどい味だが薬にはちがいない」とポジティブに考えるかで、失敗から得るものもずいぶん違ってくるはずです。

楽観論は悲観論より「アホ」かもしれないが、人生を強く生きるためのダイナモとしては悲観論
よりよほど強力なものなのです。

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【ホンのひとこと】

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で述べた有名なスピーチのなかに、
「 Stay hungry , Stay foolish 」
という言葉があります。
「アホは神の望み」は、
この言葉にインスパイアーされたのではないでしょうか。

ジョブズのスピーチ↓も合わせて読んでみてください!!

スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式スピーチ 2005 – Stay hungry, Stay foolish.
貪欲であれ、愚直であれ。(翻訳:小野晃司)
http://sago.livedoor.biz/archives/50251034.html

サンマーク出版:「アホは神の望み」