このHPをお読みくださっている方に村上和雄の本や講演録のなかから、
いま、お伝えしたいことばをご紹介してまいります。
最新作で遺稿となった「コロナの暗号」からの抜粋です。
*新しい生き方のヒント「新3S」
「3S政策」という言葉をご存じでしょうか。第二次世界大戦後、アメリカが戦後の
日本を骨抜きにしようと考えたといわれる政策です。
3Sは、Sports (スポーツ)、Screen (映画)、Sex (セックス)のことです。
国民が社会不安や政治のことに目を向けないように、こういう娯楽や欲望で誤魔化
してしまおうというものです。
この政策とは逆に、私はいま、日本の国力を高めるための「3S」を提唱しています。
村上版「新3S」は以下のとおりです。
・Science サイエンス = 科学
・Spirituality スピリチュアリティ = 霊性
・Sustainability サスティナビリティ = 持続可能性
サスティナビリティとは平たくいえば、環境やエネルギー問題を考えて、「よいもの
を長く使うライフスタイル」といった意味です。
この三つの考え方は、いままでにも理論としてはありましたが、サイエンス以外の
二つはあまり重視されてきませんでした。それぞれが相互に関係を持って機能する
こともありませんでした。
もともとサイエンスとスピリチュアリティは、科学と宗教性という対立的な概念
として捉えられていましたし、サスティナビリティは大量消費の使い捨て社会の
中でほとんど目を向けられていませんでした。
しかし、これからはこの三つのSがあらゆる社会システムの基盤として認識される
ことが必要ではないでしょうか。
まず、サイエンスですが、広島や長崎の悲劇も、チェルノブイリや福島の原発事故
も、科学には大きな責任があります。科学が、原子力という想像を絶するエネルギー
を発見したがために、人類を危機に直面させる事態となったのです。
しかし、だからといって科学を否定することはできないと私は思っています。
科学は、「生命はどこからきたのか?」「宇宙はどうやって誕生したのか?」という、
人類がずっと持ち続けてきた根源的な問いに立ち向かっています。
私はむしろこれからは、いままで分からなかった、見えなかったスピリチュアル
の分野が、科学の進歩によって明らかになっていくのではないかと思います。
スピリチュアリティは科学である、という時代に向かっていくでしょう。そして
サスティナブルな世界もまた、科学によって実現していくものだと思います。
ですから、戒めなければならないのは、科学が一握りの人の利益のために使われたり
独占されたりすることです。科学とは人類の幸福のためにあることを、改めて肝に
銘じなければなりません。
■2021年 幻冬舎 村上和雄 『コロナの暗号』227-229Pより引用
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【ホンのひとこと】
いま、世界は大きく変化していると多くの方が感じているのではないでしょうか。
そのきっかけがパンデミックであることは異論がないと思います。ですが、ポスト
コロナの時代はどのようになっていくのか、渦中にいる今はだれにもわかりません。
村上先生は「これから私たちがどのような社会を作っていくか」についてのヒントを
この本に残してくださいました。
幻冬舎:「コロナの暗号」