No.2『リト』 山元加津子 村上和雄


 『リト』の作者である山元加津子さん(かっこちゃん)は元特別支援学校の教員です。
ドキュメンタリー映画『1/4の奇跡~本当のことだから~』をご覧になった方も
いらっしゃるでしょう。この映画には村上和雄先生も出演しています。

かっこちゃん講演録「みんな生まれてきた意味がある 大好きが起こす奇跡」
生命尊重ニュース(*1)掲載の抜粋をご紹介します。

村上和雄先生との出会い

私は小さい時、変わった子と言われ、運動がひどく苦手でお友達と全く遊べず、
かくれんぼをしていると、周りに大好きな虫や葉っぱがあって、隠れていることを
すっかり忘れてしまう子どもでした。

小学1年の時に、葉っぱの裏にミミズがいました。うんちが土っぽいなと思って
舐めてみると、土だったのです。すごく嬉しくて、わかったと思うと、涙が止まらなく
なりました。双子の妹は何でもできるのに、私はいつもボーっとしているダメな子なんだ
と思っていました。ゾウは大きくて偉い、キリンは背が高くて偉いと思っていたけれど、
ミミズを偉いと思った事はありませんでした。ところが、ミミズがうんちをしたら土に
なっていた。土から芽が出て食べるものができたり、木が育つんだとわかった時、ミミズ
って偉いんだ!と思いました。世の中は平らかで、私は私でいいんだな、と思えたのです。

中学生の時「受精卵が2つになって4つになって同じものがどんどん分かれていくのに、
どうして目や手になっていくんですか」と質間しました。先生は「そんなことは考え
なくてもいい」と言われました。
そしたらなぜか、村上先生の冊子が私の手元に届いたのです。そこには「目は目になる
ように
設計図が書かれてある、全部大丈夫なように作られている。全部授かった命、
とても大切で
いらない人なんて誰もいません」と書いてありました。とても勇気の出る
言葉で、光輝くお星さまのような文章でした。私は嬉しくてしかたなかった。当時、周りの
お友達は郷ひろみさんが好きな時代に「かっこちゃんの憧れの人は誰?」と間かれると
「村上和雄先生」と答えていました。その先生がなぜかわかりませんが、私と雪絵ちゃんが
出ている映画に監督さんが呼ばれて出ておられたのです。一緒の舞台挨拶で私が養護学校の
子どもたちの話をしたら、村上先生は涙をポロポロ流され、涙をふいた鼻紙を渡されました。
それも大事すぎて私には捨てられません。

『リト』は遺伝子をONにする
『リト』を読まれた2人の方からのメールを紹介します。最初は、中学生のはなちゃんと
いう方からです。

「はじめまして、はなです。学校で、友逹に、はなの声って変わっている、変、と
言われたことがきっかけで声が出なくなり、私の声が気持ち悪いと思うのをやめら
れなくなりました。学校も全く行けず、両親と話すのも怖くて部屋から出られなくなり、
病院では精神的なものだと言われました。そんな時、担任の先生が『リト』という本を
プレゼントしてくれました。『リト』を読み終わった時、私はお腹の底か胸の辺りから
声がこみあげてきて、これまでウゥッて何度も声を出そうとしても出なかったのに、
止められない程大きな声がいきなり出て大泣きしました。私は昨日までは死にたいとまで
考えていたのに、今は特別支援学校の先生になりたい、でも村上先生のような生命学者も
いいなと考えるようになりました。私の中にも大きな力がある、と心から納得できました。
昨日学校へ行くと、みんながはな、はなと私の名前を呼んでくれて、以前と同じような
関係で話すことができて楽しかったです。私は前とは違います。『リト』が私を強くして
くれたから。私の遺伝子スイッチがONになったんだと思います。有難うございました」

もう一つメールを紹介します。

「『リト』を読み進める内に、50歳間近の男である私が、涙を堪えることができません
でした。読み終えた時、私は読む前の自分と全く違う自分になっている事に気がつき
ました。コロナの為に仕事を失い貯えも底をつき、やがて家賃さえ払えなくなることに
怯えた私は、自暴自棄になっていました。『リト』を読み終えた途端、私はまだやれる、
コロナをチャンスに新しい事にチャレンジしようと思ったら色々なアイディアが浮かんで
きました。きっとうまくいくと思ったら、喜びや生きている命の感覚が溢れてきました」

今、コロナでお仕事が大変な方が沢山いると思います。でも村上先生は、私たちの遺伝子は
沢山のOFFがあって、ONになっていない所がいっぱいあるよ、と教えて下さいました。
すごい天才で優秀な人と、何もできないと思われている方の間にも差異がない。どこかを
ONにすれば変わっていけると教えて下さいました。

村上先生は『リト』に寄せて「新型コロナウイルスの出現は、母なる地球に無理を強いて
きた人間へのサムシング・グレートのメッセージです。地球規模で互いに助け合うことを
人類に促しているのかもしれません。人類が進化するためにこのピンチは最大のチャンス
です」と書いて下さっています。

■『生命尊重ニュース』2021March Vol.38 No.434より抜粋
(*1)生命尊重センター 月刊誌 http://www.seimeisontyou.org/news.html

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【ホンのひとこと】
かっこちゃんが、村上先生の伝えたいことをとても素敵な物語に紡いでくださいました。
『リト』の帯には

かっこちゃんがファンタジーで伝える「サムシング・グレート」の世界
私たちは大丈夫。
と書かれています。
ファンタジーだからこそ、ひとのこころの深いところに、真直ぐ届くのかもしれません。

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右は愛蔵版フリガナ付き

出版社 : モナ森出版 https://eiga377.wixsite.com/monanomori/blank-8