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『致知』連載第十八回 特別対談 祈りは人を救う

「致知」連載第十八回・生命科学研究者からのメッセージは世界各地の異常気象に対する危機感を募らせるスヴェンソン会長の兒玉圭司氏と村上和雄が、人類が直面する現状と進むべき道、そして、祈りの力について共に語り合いました。

兒玉「2019年の1月、南半球のオーストラリアで気温が48℃まで上昇し、同じ日に北半球のロシアでは-57℃を記録したそうです。気温差は何と105℃です。要するに熱波と寒波、洪水と干魃という両極端な現象が地球という一つの惑星の中で加速度的に増発している」

「アメリカではこの2019年5,6月で50回以上も竜巻が発生して甚大な被害をもたらしていますし、インドは20年ぶりの大型サイクロンに見舞われて165万人が被害を受けました。」

村上「『地球に優しい』という言葉がありますね。これはとても傲慢な言葉だと私は思うんです。人間のほうが地球に守られて生きているわけですから、「地球に優しい」ではなく「地球が優しい」のです。けれどもその守護もそろそろ限界に近づいていて、人類がここで大きく発想を転換しなければ、「成長の限界」どころか「生存の限界」を迎える局面にあるのではないかと私は思っています。」

「二十世紀は科学技術の発達で人類の生活も随分豊かになりましたけれども、その延長で二十一世紀も突き進めば遠からず限界が来るでしょう。では、私たちはこの二十一世紀をどんな世紀にしていくべきか。私は、「命の世紀」にしていくべきだと思うんです。」

そして、兒玉氏と村上は祈りの力について語り合いました。

兒玉 「私は毎日、宇宙創造主様にお祈りをしているんです。宇宙創造主様というのは、すべての命の根源を私がそうお呼びしているもので、村上先生がおっしゃるサムシング・グレートと同じようなものです。お祈りの前にまず瞑想をするんです。12〜13秒かけて息を吸い、宇宙のエネルギーを体中に取り入れて丹田に溜めていきます。そして息を止め、心の中で、『私は毎日どんどん幸せになっていく。私は毎日どんどん健康になっていく。私は毎日どんどん活力が湧いてくる。心から感謝したありがとう』と唱え、13~15秒かけて体中の老廃物や嫌な思いが足の親指から全部出ていくのをイメージしながら息を吐きます。この呼吸法をしばらく繰り返した後、神棚へ向かって『宇宙創造主様、おはようございます。きょうも一日感謝の心を忘れず、生きる希望に溢れ、夢と感動を皆と共有し、感謝の心を忘れずに行動いたします。ご指導をよろしくお願い申し上げます」

中略…

そして美しい景色をイメージしながら、『地球さん、ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。人類と動植物が住める環境を与えてくださってありがとうございます。地球さん、大好きです。大好きです。大好きです。地球さん、感謝申し上げます。感謝申し上げます。感謝申し上げます』と唱えてお祈りを終えるんです。」

村上 「様々な異常現象も、サムシング・グレートからの試練のメッセージだと私は思うんです。『このままでは人類が滅びることを、早く気づいてください』と。そのメッセージを私たちはしっかり受け止め、人知を超えた存在に真摯に手を合わせる姿勢が求められているのではないかと私は思います。」

兒玉 「『クリティカルマス』というマーケティング用語があります。これはある商品やサービスの利用者が一定数を上回ると、普及率が一気に跳ね上がる現象を表す言葉なんです。いま村上先生がおっしゃったことも、たった一、二万人の人が意識するだけで、地球環境は劇的に改善されるのではないかと私は思います。」

「最後に行き着くところは愛ではないでしょうか。…すべては愛であって、愛こそが地球環境問題の克服に最も重要な意識ではないかと私は思うんです。」

村上 「おっしゃる通り、どの宗教でも共通して説いているのが愛だと私は思います。日本人は愛という言葉がピンとこないかもしれませんから、慈悲と解釈していただいてもいいでしょう。私たちはサムシング・グレートに生かされている存在であることを自覚して、あらゆるものに対して愛を持って接していくことが大事だと思います。」

兒玉 「人々の意識が高まり、愛という意識に人類全体が目覚めれば、地球環境は必ず改善されていくと思います。」

「祈り」はこの危機的な地球の状況を変えるためにひとりひとりが出来ることであり、大きな希望ではないか、お二人の対談からそう、感じました。(スタッフS)

ノーベル生理学・医学賞 本庶佑氏の偉業 『致知』連載第十七回 より

「致知」連載第十七回・生命科学研究者からのメッセージは2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学特別教授・本庶佑氏の研究にスポットを当て、がん免疫療法に寄せる期待と、「心と免疫の関係」について語りました。

本庶佑氏の研究をかいつまんで説明すると…

これまでのがん治療はがん細胞を攻撃することを中心に開発されていました。ところが、本庶氏が発見した免疫療法は、がん細胞そのものを攻撃するのではなく、がん細胞に出現するタンパク質(PD-L1)が、T細胞(病原体に感染した細胞を攻撃し破壊する)のブレーキ(PD-1)を踏み、免疫を抑制していることに注目したのです。

多くのがん細胞の表面には、T細胞にブレーキをかけるタンパク質が発現しており、T細胞ががんを攻撃しようとすると、がん細胞はT細胞の免疫反応にブレーキをかけて、逃れていることが明らかになりました。そこで本庶氏らはがん細胞より先にブレーキにくっつく人工的な抗体をつくり、がん細胞がT細胞のブレーキを踏めなくする方法「免疫チェックポイント阻害剤」を考案しました。そうすることでがん細胞に対するT細胞の免疫作用が抑制されず、がんが免疫反応から逃れることができなくなります。

現在、がん免疫療法では、本庶氏の研究を基に開発された治療薬「オプジーボ」をはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」が用いられていますが、効果が確認されている阻害剤でも、効く患者は二~三割と限定的であり、また、治療効果が表れる患者を事前に調べる方法も確立していません。

2020年4月京都大学大学院医学研究科附属 がん免疫総合研究センターが開設され本庶佑氏はセンター長に就任されました。この研究センターが、がん免疫研究・治療における諸課題を世界に先駆けて解決し、次世代がん免疫研究・治療を発展させることを期待しています。

こころと免疫との密接な関係

「がんが自然に治った」ということをよく聞きます。医師から言われた西洋医学の三大治療法(手術、放射線、抗がん剤)などを受けずに、自然にがん細胞が消失した例を耳にすることがあります。これは本当にそうなのでしょうか。

ここで大事なのは、自然に治るというのは、病気が発覚した時点の状態のまま、生活様式やこころのあり方を何も変えずにそのまま放っておいて治った、ということではありません。病気になった時、なぜ病気になったのか、自分の心の状態や身体の状態をきちんと正確に判断し、本来あるべき状態に戻す努力をした結果なのだと思います。

『がんが自然に治る生き方』の著者ケリー・ターナー氏は、余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちを調査研究し、彼らが共通で実践している九つを抽出しました。

①抜本的に食事を変える②治療法は自分で決める③直感に従う④ハーブとサプリメントの力を借りる⑤抑圧された感情を解き放つ⑥より前向きに生きる⑦周囲の人の支えを受け入れる⑧自分の魂と深く繋がる⑨どうしても生きたい理由を持つ

一つには食事、人間関係をはじめとする自分を取り巻く様々な環境を自ら変えているということです。二つ目は自分自身を内観して、自らの意志で行動するように変化しているということです。

治療者は自分であって、医療者はあくまでも補助。己のなすことは自分で決める。いかに生きるかいかに死すか(死生観)を考えることが大事なのだと思います。

私たちの脳は過去の経験や学習から答えを導こうとします。それは、あくまでも過去が反映しただけにすぎません。まだ真実でないこと(脳が勝手につくりだす未来)を真実と思い込んで恐れたりします。しかし、それよりも深刻なのは、恐れることによって自分がいま持っている力まで忘れてしまうことです。

私たちは生きる力を自分の中に備えています。未来は、自分自身で描けるということを常に忘れず、こころと免疫、そして身体は繋がっているということを信じることが大切なのではないでしょうか。