環境問題解決の鍵となる「縁の科学」


「致知」連載第十五回・生命科学研究者からのメッセージ~は、村上和雄と交流のあるダライ・ラマ法王などの発言から地球再生の可能性を探っています。

ダライ・ラマ法王は90年代から環境問題についてのメッセージを世界中で発信してきました。法王は、2015年4月に村上和雄を含む3人の科学者たちと環境問題のシンポジウムに参加されました。

ダライ・ラマのメッセージ 

広い心の〝賢い利己心″

  • 「私は、これまで「利他的行為」は人生がうまくいく方法だと述べてきました。それは、利他が結局は得をするのだという意味で、利己心に通じるものです。」
  • 「もし、利己的であることを捨てきれないのであれば、狭い小さな心ではなく、知恵をもって広い心で利己的になってください」
  • 「つまり、私たち自身の生存という利己心を満たすために、自然環境の保護と保存を進めているということになります。他の人々の健康と幸せに関心を寄せ、苦しみを分かち合い、救いの手を差し伸べるならば、結局は、あなた自身が得をすることになるのです」

まさに、利他が利己心に通じる基本的な考え方がそこにはある。それを、法王は「賢い利己心」と言いました。

「相互依存」は“縁の科学”

ダライ・ラマ法王は、仏教の考え方として、「あらゆる事象は、別の要因で存在している」と言い、それが「空」の意味であると言います。いってみれば、自然を含めた、すべての現象は相互依存で起こっているということであり、それを仏教では「縁起」と言うのです。

  • 「たとえば、多くの国々が兵器に巨額の資金を投じています。誰も戦争を望んではいません。戦争とは殺し合いです。それは人間を燃料とする炎のようなものです。それは私たちを使い尽くす炎です。戦争は人間の歴史の一部ですが、戦争を作りだす概念である『自国』『自国民』『我々』『彼ら』は、もはや私たちが生きるグローバルな世界においては意味をなさない。」
  • 「すべての人類が、私たちと同様幸せに生きたいのだということを思い出さなければなりません。私の未来は他者に依存し、他者の未来もまた私に依存しています。」
  • 「日本は核の攻撃を受けた唯一の国として、率先して核兵器に反対してきました。私は日本が核兵器に反対することを強く支持しますし、是非それを続けていただきたいと思います。」
  • 「人間は本来、ネガティブなものを持っているからこそ、良い行いをして心の中をポジティブなもので満たしていくのです。世界を破壊するのではなく、生命の環境を創造することが必要です」

村上和雄のメッセージ

  • ひとりの人間は37兆個の細胞を持っています。天文学的な数の細胞が、臓器になり働いています。細胞にはお互いを支え、助ける仕組みが組み込まれているのです。細胞は見えますが、お互いを支える愛や思いやりといった心は目に見えない。本当に大切なものは見ることができないのかも知れません。

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2016年から2030年までの国際目標をSDGs(持続可能な開発目標)といいます。環境問題や持続可能な社会といった言葉を耳にすることは多くなりました。とはいえ、まだまだ多くの日本人がこのような国際的な人類の取り組みを他人事のように感じているのではないでしょうか。SDGsでは「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind」ことを誓っています。

地球的問題の解決には科学・技術の善用と大自然サムシング・グレートの恵みに感謝する人間の叡智の両方が必要であると考えます。…以上誌面よりピックアップしました。

新型ウイルスも人類も地球上で生きている、繋がっている、ことを、今一度深く考えさせられます。((=_=)スタッフS)