

写真提供:法王庁 撮影:テンジン・ジグメ
去る4/6有楽町読売ホールにて「次世代のための環境シンポジウム2015」が開催されました。
印象的だったのは「環境問題について私は今でも学び続けている生徒です」とダライ・ラマ法王がおっしゃったことです。
「現在の世界の人口は70億今世紀末には100億になる」
「貧富の差は大きく、この差を小さくしないといけない」
「イギリスで地球環境の話をした時貧困層の人の生活を上げていくと資源がもたないという話しになった」
「今、富める人たちが贅沢なライフスタイルを改める必要がある」
そして経済、戦争、環境問題が密接にからまっている世界の状態について、
「国家は国防の名の下に武器をつくっている」
「戦争では人間のいのちが燃料のように使われている」
「もはや国境はあまり重要ではない。70億人が暮らす地球という、同じ故郷を持つ人間として考えましょう」
「環境を考えるとき戦争はなくなる」とおっしゃいました。
私たち日本人に対しては、
「唯一の被爆国である日本が核兵器廃絶に世界を引っ張って行かなければならない」
「若い人は英語を習ってビジョンを持って組織を作って世界に出ていってほしい」
「日本人は勤勉なので他国で大きな貢献ができる。例えば木を植えたり、太陽光発電によってつくられた電力で海水を淡水化し砂漠を緑地化する」
「そのことはその若者自身が人として大きく成長できることでもある」とメッセージを送られました。
「今こそ我々は考えなくてはいけない。グローバルなこと、人類のことを。」
「多額のお金を使い兵器をつくるのではなく、建設的なことに使うのです。」
「人間が動かなくてはいけない。人類のことを考えよう。無関心ではいけない。怒りと恐れは他を排除します。」
「我々の人間性はポジティブだということを知りましょう。知ることが力になる。残虐なテロリストも愛ある母親から生まれた。本質が悪ではなく環境によるものなのだ」
最後に法王は「日本人は堅苦しくなってしまいがちなのでスマイルを忘れないでくださいね」と力強く大きく温かい笑顔でおっしゃいました。
法王のオープニングメッセージの後、環境学の第一人者である 山本良一東大名誉教授から人類が古今未曾有の危機に直面している事が述べられました。500名もの科学者らによってまとめられた科学的コンセンサスによると「このままいくと2025年に地球の生命維持システムが不可逆的に劣化してしまう」というのです!エコ文明への転換はもはや後戻りできず地球のすべての生物に関わる事態となっていることがひしひし伝わってまいりました。
さらに「人類の豊かな未来を保証するいのちの森を~ローカルからグローバルに」というテーマで、宮脇昭 横浜国立大名誉教授の植林活動を愛弟子の新川眞先生が感動的にご紹介くださいました。日本だけに止まらず世界各地で4000万本以上の植樹に関わってこられた宮脇先生の活動は、地球的危機を克服するための具体的な答えであると思います。
村上和雄筑波大名誉教授は、ストレス下にあるラットを、遊びを取り入れて育てると、ストレスに強く学習能力も良くなるという、当会の研究成果を紹介しました。
「今子供たちが切れやすい、いじめ、自殺、引きこもりなどの問題に直面しているが、大人は子供たちが楽しく遊べる環境を提供する役割がある」
「子供時代の環境が生きていくための力になる」
「遺伝子の中に利他の遺伝子、他のものを助け全体のために協力し合いなさいという、助け合いの遺伝子がある」
「地球環境や資源の問題を解決するには、単に科学技術だけでは不完全」
「大自然(サムシング・グレート)への深い畏敬の心を持つ宗教的アプローチが必要で、そのためには科学者と宗教者の対話がこれからますます大切になる」と訴えました。
一人でも多くの方にこのような機会に参加していただき、知っていただくことが地球の未来につながっていくことになると思います。ご参加いただいた皆様ありがとうございます。また満席でご参加いただけなかった皆様申し訳ございませんでした。また来年にご期待ください。