こころじ~んブログ

『致知』連載第十三回 笑いこそ至高の妙薬

村上和雄の「笑い」研究は世界に知れ渡るほどのインパクトをもたらしました。

  •  笑いが健康に影響を及ぼすことを、医学界に認知させたのはアメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏です。彼は膠原病の一つである強直性脊椎炎に罹った。治る見込みは1/500という難病だったが、カズンズ氏は医師が勧める薬剤治療を辞退し、連日喜劇鑑賞に勤しむとともにユーモアたっぷりの本を読み漁り、積極的に「笑う作戦」に打って出た。その結果、数か月後には症状が改善し、仕事に復帰することができた。その後カズンズ氏は難病を克服した詳細な過程を医学誌に発表し、これが契機となってカリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部教授にもなった。
  • 村上は、笑いなどのポジティブなストレスを与えることで、糖尿病患者の血糖値を改善することができるのではないかという仮説を立て、研究を行った。実験では糖尿病患者に、一日目は昼食後に、大学の先生の講義を聴いていただき、二日目には同じく昼食後に、今度は漫才を聴いてもらった。漫才を担当したのは、B&Bのお二人。昼食前と、講義や漫才が終わった後に血糖値を測った。その結果、講義を受けた後と、漫才で大笑いをした後とでは、実に四十六ミリグラムもの数値差が生じた。この研究の論文は、アメリカの糖尿病学会誌に掲載された。さらにロイター通信や『ニューズウィーク』にも論文の内容が掲載されて、村上の研究結果は世界中に知れ渡ることになった。
  • 可笑しいから笑うのではなく笑うから可笑しくなる。つくり笑いでも、神経伝達物質であるドパミンが脳内で分泌されることが報告されている。

笑いは副作用のない薬。「いつでも笑いに溢れた生活を心掛けていると、それだけで健康に繋がるよい習慣を身につけることになる」と村上はいいます。

『致知』連載第十二回「笑い」から始まる新たな挑戦

「心と遺伝子研究会」の端緒となった研究テーマが「笑い」です。

  • 20世紀の偉大な哲学者ベルクソンは、フランスの喜劇や道化役者の芸から学んで「笑いについて」という論文で、ユーモアの社会的な意味づけをした。それは「笑い」には秘めたる力があることを見抜いていたからではないか。
  • 天照大御神が天岩戸に御隠れになった時、八百万の神々が一堂に会し、女神であるアメノウズメがストリップさながらに踊り狂ったことで、それを見た神々の大きな笑い声が高天原にまで届いた。不思議に思った天照大御神が自ら天岩戸の扉を開けたことで、再び世の中に光が戻ったという神話がある。日本においても「笑い」は特別な力を持つものだ。
  • いっぽう、現代脳科学においても「笑い」は、ある一定の行為を行う動機づけとして働くことがわかっている。「笑い」は人をより一層前向きにさせるだけでなく、モチベーションアップにも一役買っていることが明らかになった。
  • 神経伝達物質として、「脳内麻薬」と呼ばれるβベータ-エンドルフィンは笑いによっても分泌される。つまり、苦痛や不安といったものを和らげる上でも、笑いは重要な役割を果たしている。

ヨーロッパには「笑いは副作用のない薬」という諺ことわざがあるようですが、こうした様々な笑いの効用を知るにつけ、まさに言い得て妙と言えるでしょう。