こころじ~んブログ

スポーツで人の意識、社会の意識を変える『致知』6月号

撮影:山下武

「致知」 生命(いのち)のメッセージ 連載第102回目の対談は、陸上男子四百メートルハードルの日本記録保持者であり、オリンピックをはじめ数々の世界大会で活躍された為末大氏です。現役時代は「走る哲学者」の異名をとり、引退後も多彩な活動を続ける為末氏と村上和雄が、意識を変えることで人間の可能性が広がることについて語り合いました。対談の場は新豊洲Brilliaのランニングスタジアムです。一部をご紹介いたします。

村上 「現役を退かれた後も、会社の経営やテレビ出演、インターネットでの大学運営など、実に多才ですね。こちらの練習場も為末さんの会社が運営なさっていると伺いました。」

為末 「パラリンピック選手の義足を作る会社もやっていまして、障がいのある選手も、そうでない選手も、当たり前のように一緒に練習する風景を実現したくて、この練習場を立ち上げました。スポーツには人の意識を変える大きな力があると僕は思っています。現役を退いたアスリートの活動は様々ですが、僕はそうしたスポーツの力によって社会に何かを提供していきたいんです。」

「特に興味をもっているのは、マインドセット、簡単に言えば人の思い込みとか常識のことですけど、これが変わる瞬間です。例えば、義足を履いた幅跳びの選手がいるんですけど、健常人とほとんど変わらない記録になってきて、いずれ抜いてしまうと思うんです。そうした人間と道具との融合が当たり前になったら、世の中の常識やこれまで人が抱いてきた思い込みも大きく変わる気がするものですから、そんな新しい世界を、こういう施設を使いながらちょっと覗いてみたいんです」

「現役のころから、自分は本当はどこまでいけるのだろう、自分の限界を決めるのはなんだろうといつも考えていました。たぶん思い込みによって自分の能力にブレーキをかけている部分が大きいと思う・・・つまり思い込みとか、常識とか、自分が自分に貼っているレッテルに人間がすごく影響されているんじゃないか、というのを感じていました」

確かに多くの人は自分の心で自分の限界を勝手に決めているように思います。もし、その限界だという思い込みを外すことができれば、思いがけない力を発揮できるのかもしれません。

村上 「・・・僕は五十年前にアメリカに渡って研究活動をしたんですけど、給料は日本の十倍、教科書でしか知らない大先生に会えるという、大きな環境の変化によって遺伝子のスイッチがオンになったと思います。・・・科学には昼の科学と夜の科学があります。昼の科学は論理、理性、知性の世界。一方「ナイトサイエンス」と呼ばれる夜の科学は、感性、直観、インスピレーションで、こっちのほうが大きな仕事ができるんです。」

「ナイトサイエンス」は夜、お酒を飲んで語り合っているときにひらめく勘だそうです。そういう時は理性的なたがが外れ、常識という思い込みが消え、全く新しい発想が生まれることがあるようです。では、為末氏の陸上選手としてのスイッチを入れてくれたものとは何だったのでしょうか?

為末 「走るのはもともと早く、中学時代の百メートルのタイムは十秒六で、全国一でした。・・中学校の時の先生から、授業中にマンガを読んでいるのを見つかって、どうせ読むならと、陸上競技の運動を力学的に解説した本を渡されました。そこに書かれた、体が前に進む理屈がよく理解できて、それを自分で表現したいという思いが強くなったんです。・・・高校になって体の成長もタイムの伸びも止まってしまい、なんとか自分の工夫で勝てるものはないかと考えて、ハードルは運動能力以外のいろんな要素が絡んでくる複雑な競技なので、この世界だったらいけるんじゃないかと思って転向しました。」

為末氏はとても論理的な方だと感じました。これからのスポーツ選手はそれぞれのポテンシャルを最大限に生かすための分析力が必要なのだと感じました。それはもちろんスポーツ選手に限らず、誰でも、自分の持つ資源をよく知って、強みを生かすことが大事だと感じました。

ものごとを長く続ける秘訣について、

為末 「一番の源泉になったのが好奇心ですね。自分が本当はどこまでいけるのか、よくわからないまま終わるのが嫌で、.それを知りたいという欲求が大きかった。・・・競技成績も重要なんですけど、それとともに分からなかったことがわかるようになる喜びというのも、競技生活を続けていくうえではとても大切だと思います。」

村上 「それは科学の世界にも通じるお話ですね。アインシュタインは「あなたは天才ですね」と言われて、「いや、私は天才ではない。好奇心が強いだけだ」と答えていますが、知らないことを知りたいという欲求の大切さというのはいろんな分野に当てはまるわけですね」

為末 「何かを知るために夢中になること、そういう根源的な欲求に訴えかけることが重要で、そのためには日々何か工夫をしながら生きていくということが重要なのではないかと思います。長く陸上競技を続けてきて、最後は自分によってたつという覚悟を定められました。最後の五、六年はずっと一人で練習していたので、自分とは何か、自分はなぜこう思うんだろうかといったことをずっと考えていました。」

まさに哲学者、求道者のような姿だと感じます。

2020年の東京オリンピックに向けては、

為末 「スポーツの大きな役割って、マインドセットを変えることだと僕は思っています。東京オリンピックではかなりの選手が自己ベストを更新すると思うんですけど、そういう姿を見て、多くの人が自分にはここまでしかできないという思い込みを打開してほしい。そして世の中全体のマインドセットがよいほうに変わればいいという思いがあります。それは僕の応援するパラリンピックにも期待していることです。」

村上 「僕らはともすればメダルの数にとらわれてしまいがちですけれども、確かに為末さんがおっしゃるように、一過性の感動にとどめるのではなく、日本の未来に向けた転機にしていくことが大事だと思います」

東京オリンピックが、日本がもっと良い国に変わっていくための、エポックメイキングになってほしいと思いました。

 

祈り-天・人・地 ~見えざる世界の未知なる可能性~

映画「祈り」上映と講演会のイベントが開催されます。

関西の皆さま是非お集まりください!

【開催日時】2017年8月6日(日)11:00~17:00

【会場】大阪市立住吉区民センター大ホール

【入場料】前売8,000円 当日9,000円

【お申込み】下記(こくちーず)よりお申し込みください。

http://kokucheese.com/event/index/458906/

【お問い合わせ】Email :cosmic_drem@pure.zaq.jp 代表:川口真由美