日本動物心理学会第76回大会


 北海道大学で開催された日本動物心理学会第76回大会に参加してきました。今回は「笑うねずみ」の研究報告です。

 心と遺伝子研究会のHPFacebookで何度かご紹介したように、私たち研究会は、人の笑いや祈りなどのポジティブな感情の基礎的なメカニズムを明らかにするために、仔ねずみの遊びのモデルを使って研究をしています。

 皆さんがご存知のように、人や動物は仲間と遊びを通して社会性を発達させて、仲間との関係性を築く能力や子育する能力などを培っていきます。そうした仲間との遊びを通した刺激は社会性だけでなく、脳の発達にも大きく関わっていることが分かってきています。

 仔ねずみは仲間と遊ぶときなど、ポジティブな状態にあると、人には聞こえない50kHzの超音波の鳴き声を出します。このねずみの50kHzの鳴き声は、人の笑い声の原型ではないかとサイエンスで紹介されてます。これまでの私たちの研究で、ねずみを遊ばせると、この50kHzの笑い声を出すのと同時に、脳内の側坐核という場所で、幸福感や嬉しいという感情を引き起こすドパミンという神経伝達物質を分泌させるということを証明しました。ねずみのモデルを使うことで、遊びが直接脳内の神経細胞に影響をあたえていることが分かったのです。この側坐核で分泌されるドパミンは、やる気や意欲に関わるなど大事な役割を担っています。

 今回の学会では、ドパミンを阻害する薬をこの脳部位に入れると、遊びで笑い声が引き起こされるない(阻害される)ということを報告しました。遊びと嬉しいという感情との関係性を、さらに詳細に確認したものです。

 笑いなどのポジティブな感情がストレスを軽減させ、心身の健康に大事だという認識は広まっていますが、子供たちにとって遊びも、彼らの成長に大切な役割があるということも、どんどん明らかにしていきたいと思っております。

 今、日本では、震災などで長い避難生活を余儀なくされる方々がいます。避難生活においては、子どもが遊ぶ場所の確保は優先順位が低く、遊べないことはが子供にとって慢性的なストレスとなります。さらに、都市化や少子化の進展、誘拐など犯罪への懸念など子どもにとっては、遊ぶ場所、遊ぶ仲間、遊ぶ時間の減少を招いています。私たち大人はそのことにもしっかりと目を向け、子供たちの未来のために環境を整えてあげたいものですね。

 以前、米国のサイエンティフィックアメリカンの電子版に、私たちの研究が紹介されておりましたので再度ご紹介いたします。

https://blogs.scientificamerican.com/scicurious-brain/to-calm-a-rat-with-tickling/

 いつも、研究会を支えて下さっている皆さまや、研究にご協力いただいている皆さまに感謝申し上げます。

スタッフHori

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