村上和雄 講演会 in 日光

村上和雄 「スイッチオン」の世界へ 日光木鶏クラブ5周年記念講演会 日時:平成29年5月20日(土)午前10時 […]

【正論】⼤隅良典⽒の業績から⾒た「生と死」    筑波⼤学名誉教授・村上和雄2016.12.7 08:30

2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した東京⼯業⼤学栄誉教授、⼤隅良典⽒の授賞式が12⽉10%e6%ad%a3%e8%ab%96%e5%86%99%e7%9c%9f161207⽇に⾏われる。

21世紀に⼊ってからほぼ毎年のように⽇本⼈が受賞しており、しかも⼤隅⽒のケースは単独受賞である。ここでは⼤隅⽒の業績を生物の持つ共通の原理の⾯から考察する。

≪細胞⾃らが死を決定する≫

私たちは全く意識していないが、すべての細胞の中で、驚異的なスピードで正確に分⼦レベルでの化学(酵素)反応がおこなわれている。酵素は化学反応のスピードを数億倍にアップし、しかも反応相⼿を正確に認識する。したがって

⼩さな細胞の中で何千という反応が同時進⾏できる。実に⾒事である。

生化学者は、まずタンパク質、脂質、糖質などの⾼分⼦の合成反応のメカニズム解明に⼒を⼊れた。そして、合成に関与する酵素や遺伝⼦の研究で⼤きな成果を上げた。しかし、⾼分⼦の分解反応の解明は出遅れた。

古くから細胞の死として知られる「ネクローシス」(壊死(えし))は、やけど、毒物、打撲、溶解性ウイルス感染などによって突発的に起こる、いわば事故死のような細胞死である。

1972年に病理学者カーは、患部の病理標本を観察している途中で、ネクローシスとは形態的に全く違う奇妙な細胞死の過程があることに気付いた。  彼が⾒たのはネクローシスによる膨らんだ細胞ではなく、縮⼩し断⽚化された形態の細胞死であった。彼はこの現象を、細胞⾃らが死を決定し、ある

⼀定のプロセスを踏んで死が実⾏されていると考え、「アポトーシス」の概念を提唱した。

アポトーシス(apoptosis)とは、ギリシャ語で  “apo”  は「離れて」“ptosis”   は「落ちる」の意味で、カーは細胞の⼩⽚が死にゆく様⼦を、秋に枯れ葉が落ちる様⼦になぞらえたのである。

≪明らかにされたオートファジー≫

生物は、複雑な生体を形作り、生命を維持し、進化をするための戦略として、細胞⾃らが死ぬことができる機構を獲得した。この遺伝⼦によって制御された積極的な細胞死を「アポトーシス」と呼ぶ。

アポトーシスの機能としてよく知られるのは、ヒトの発生時に⼿足の指の間の⽔掻きのような細胞が死に、指が分離されて形成されることである。また、胎児における神経回路網の形成過程では、あらかじめ余分に神経細胞がつくられ、その中で、シナプスを形成できなかった細胞にアポトーシスが働き、取り除かれる。

これらは発生過程の中で画⼀的に起こるプログラム細胞死といえる。また、発生が終わった後も身体の中でアポトーシスは働く。遺伝⼦が傷つき、異常に増殖してしまう細胞はがんをつくるが、これらの多くは遺伝⼦の働きで⾃死し、除去される。

アポトーシスも多くの因⼦や遺伝⼦によって制御されていることが最近の研究によって分かり、その解明に貢献した欧⽶の3⼈にノーベル賞が与えられた。

⼤隅⽒はアポトーシスとは別に、酵⺟を用いて細胞外ではなく細胞内での分解系の研究でノーベル賞を受賞した。近年、脚光を浴びているオートファ ジーの研究であるが、実は30年以上も前にすでに顕微鏡で観察されていたにもかかわらず、その過程に関与する因⼦は⻑らく不明であった。オートとは

「⾃分」、ファジーは「⾷べる」という意味のギリシャ語で、⾃⾷作用のことである。

1993年、⼤隅⽒らはオートファジーに関連する遺伝⼦群を発⾒した。この研究を契機にして、オートファジーの役割の詳細が次々と明らかにされている。そして、酵⺟だけでなく植物、⿂類、哺乳類、⼈類などの全ての真核生物にオートファジーは普遍的に存在することが判明した。

≪変わりつつある病気への考え⽅≫

この研究が⼤きく発展するきっかけになったのは、オートファジーの遺伝⼦を⽋損するマウス(ノックアウトマウス)の作製である。このマウスを用いて、オートファジーは多くの病気に関係することが⾒いだされた。例えば、がん、アルツハイマー病やパーキンソン病の神経疾患、感染病などであ   る。

アルツハイマー病は、古くなった神経細胞に異常なタンパク質が蓄積することにより発症する。オートファジーを適切に制御できればアルツハイマー病の予防や治療につながると期待されている。

アポトーシスやオートファジーの研究の発展に伴い病気に対する考え⽅も⼤きく変わりつつある。すなわち病気とは細胞の増殖・分化・死のバランスが崩れてしまうこと、と理解されつつあるのだ。

細胞は生命活動に必要なタンパク質などの物質を絶えず合成するだけでなく、絶えず分解し続けるプログラムを遺伝⼦レベルでインプットされている。

生と死は対極にあるのではなく、生の中に誕生と死がペアで書きこまれている。

(筑波⼤学名誉教授・村上和雄   むらかみ    かずお)

以下産経ニュースの掲載URLです。

http://www.sankei.com/column/news/161207/clm1612070005-n1.html

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 北海道大学で開催された日本動物心理学会第76回大会に参加してきました。今回は「笑うねずみ」の研究報告です。

 心と遺伝子研究会のHPFacebookで何度かご紹介したように、私たち研究会は、人の笑いや祈りなどのポジティブな感情の基礎的なメカニズムを明らかにするために、仔ねずみの遊びのモデルを使って研究をしています。

 皆さんがご存知のように、人や動物は仲間と遊びを通して社会性を発達させて、仲間との関係性を築く能力や子育する能力などを培っていきます。そうした仲間との遊びを通した刺激は社会性だけでなく、脳の発達にも大きく関わっていることが分かってきています。

 仔ねずみは仲間と遊ぶときなど、ポジティブな状態にあると、人には聞こえない50kHzの超音波の鳴き声を出します。このねずみの50kHzの鳴き声は、人の笑い声の原型ではないかとサイエンスで紹介されてます。これまでの私たちの研究で、ねずみを遊ばせると、この50kHzの笑い声を出すのと同時に、脳内の側坐核という場所で、幸福感や嬉しいという感情を引き起こすドパミンという神経伝達物質を分泌させるということを証明しました。ねずみのモデルを使うことで、遊びが直接脳内の神経細胞に影響をあたえていることが分かったのです。この側坐核で分泌されるドパミンは、やる気や意欲に関わるなど大事な役割を担っています。

 今回の学会では、ドパミンを阻害する薬をこの脳部位に入れると、遊びで笑い声が引き起こされるない(阻害される)ということを報告しました。遊びと嬉しいという感情との関係性を、さらに詳細に確認したものです。

 笑いなどのポジティブな感情がストレスを軽減させ、心身の健康に大事だという認識は広まっていますが、子供たちにとって遊びも、彼らの成長に大切な役割があるということも、どんどん明らかにしていきたいと思っております。

 今、日本では、震災などで長い避難生活を余儀なくされる方々がいます。避難生活においては、子どもが遊ぶ場所の確保は優先順位が低く、遊べないことはが子供にとって慢性的なストレスとなります。さらに、都市化や少子化の進展、誘拐など犯罪への懸念など子どもにとっては、遊ぶ場所、遊ぶ仲間、遊ぶ時間の減少を招いています。私たち大人はそのことにもしっかりと目を向け、子供たちの未来のために環境を整えてあげたいものですね。

 以前、米国のサイエンティフィックアメリカンの電子版に、私たちの研究が紹介されておりましたので再度ご紹介いたします。

https://blogs.scientificamerican.com/scicurious-brain/to-calm-a-rat-with-tickling/

 いつも、研究会を支えて下さっている皆さまや、研究にご協力いただいている皆さまに感謝申し上げます。

スタッフHori

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「SWITCH」上映会のお知らせです。

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